【連載企画 -Vol.1- サスティナブルの本質を紐解くファッションブランドSREU ランウェイショーまでの舞台裏を取材】
2020S/S Rakuten Fashion Week TOKYOでブランド初となるランウェイショーを開催したSREU
» 参考:【“サスティナブル”はこのブランドにとっては当たり前のこと___SREU 2020S/S Collectionの舞台裏を取材】
ランウェイショー終了直後から次のシーズンのコレクション製作に取り掛かり、3か月後にはパリでプレコレクションの展示会を開催した。
それとほぼ同時期の1月後半、都内某所の古着倉庫にSREU デザイナー植木氏とデザインチームの姿があった。
パリでのプレコレクションを終えた後、同ブランドは台北、パリのメインコレクションでの展示会、更には東京でのランウェイショーと展示会を予定している。
同ブランドを知らない方の為にも、ここで改めてSREUというブランドを説明させて頂く。「SREU(スリュー)」はS(Sustainable) RE(Recycle) U(Upcycle) を繋ぎ合わせた造語からなるファッションブランド。主にリメイクを手法として用い、世の中的には価値のなくなった既製服に新たな価値を生み出す取り組みを行っている。
今回は多忙を極めるスケジュールの中、今後行われる展示会、ランウェイショーに向け、今季のコレクションに更なる肉付けを行うべく、古着の倉庫に材料となる商品をピックアップしに来たという。
ルック撮影、展示会、ランウェイショー、商品生産の合間を縫って今でも数か月に一度デザイナー、デザインチーム自らが古着のピックアップに赴く。
「一般的には外注で“手作業”となると、その分工数が多くなり、時間が掛かることから販売価格は値上がりすると思うんです。その反面、自社でそれを行うことにより販売価格を下げられる可能性がある。ましてや海外で展開していく上ではどうしても現地での価格は上がってしまう。少しでも多くの人にSREUの服を手に取ってもらう為には、私たち自らが動いてコストを削減していくこともブランドの役割だと思うんです。」
デザイナーの植木氏は古着のピックアップ作業の傍ら、こう語ってくれた。
海外取引を担当するディストリビューターや社内のデザインチームでも”価格”に対する意見交換は積極的に行うという。
SREUでは現在サンプル製作から、商品の裁断、縫製、量産までの過程をアトリエ内で行い、それらの作業は全てデザイナー植木氏の目を通している。アイテムの品番やパターン、カラーはもちろん統一させているが、リメイクという特性上、全く同じ商品というものはこの世に存在しない。
しかしながらSREUというブランドは、この膨大な時間を費やすプロセスを、必要以上に価格に反映させたりすることはない。
植木氏はさらにこう続けた。
「値段を理由に買わない ということを出来る限り少なくしたい。手に取りやすい値段のブランドでありたい。」
様々な技術の発達により、各ブランド、メーカーが効率化を図る中、SREUは独自の路線を突き進む。一見すると非効率・非合理なクリエイションではあるが、そこに相反するようにこのブランドの、デザイナーのアイデンティティが確かに存在し続けている。
前身ブランド「FURUGI-NI-LACE(古着にレース)」時代から培われてきた一朝一夕ではないサスティナブルの精神は今後、東京のファッションシーンで注目を集める存在になることは間違いない。
WFN World Fashion News -Asia-では引き続き、SREU 2020A/W Collectionの製作過程からランウェイショーの舞台裏までを追った連載企画を予定している。
※今回ピックアップした古着(必ずしもコレクションやランウェイショーで使用される訳ではありません)
石本 遥路
【“サスティナブル”はこのブランドにとっては当たり前のこと___SREU 2020S/S Collectionの舞台裏を取材】
「FURUGI-NI-LACE(古着にレース)」からブランド名を改め、Rakuten Fashion Week Tokyoで初ランウェイを開催した「SREU(スリュー)」新ブランド名の「SREU(スリュー)」はS(Sustainable) RE(Recycle) U(Upcycle) を繋ぎ合わせた造語だとデザイナーの植木氏は語る。今回は初ランウェイショーのリハーサルを含む舞台裏に密着した。
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