【Interview】Tokyo新人デザイナーファッション大賞受賞【PORTVELが目指すクリエイション】
WFN:Interview
世界のファッション都市・TOKYOをベースに活躍する若手デザイナーの国内外のビジネス支援を目的としたコンペティション『Tokyo新人デザイナーファッション大賞』
2019年度プロ部門において大賞となる東京都知事賞を受賞したPORTVELデザイナー 濵田 博昭。
群雄割拠のファッションシーンで同ブランドが目指す、今後のブランドの展望とは?
濵田 博昭(Hiroaki Hamada)
1984年鹿児島県生まれ。 独学で服作りを学ぶ。
2015S/S より自身のブランドPORTVELを立ち上げる。
2019年度 Tokyo新人デザイナーファッション大賞プロ部門入賞、東京都知事賞受賞。
»PORTVEL OFFICIAL HP
ブランドとして大切にしていること、自身のクリエイションにおいて重きを置いている部分はどこですか?
「機能性」「快適性」というキーワードはブランド設立当初から変わらず大切にしています。
最近では以前のシーズンとは違ったアプローチであったり、テクニックをアップデートすることを大切にしています。
ブランド設立当初からそういったキーワードは意識されていたのでしょうか?
そうですね。初期のころは、より明確に分かりやすさを求めていたのですが、最近はそれらの機能を用いつつ、大手のスポーツメーカーなどでは出来ないような、インディペンデントなブランドだからこそ出来る型破りなクリエイションを意識しています。
現在の取扱店舗数は?
今は国内ベースでアカウントを増やしている最中で、International Gallery BEAMSやmonkey timeをはじめ日本国内で25店舗。
海外は韓国とイギリスの2か国で4店舗です。
海外の卸先に関しては、基本的に国内展に海外のバイヤーが買い付けに来ます。
ブランドの核として「機能性」「快適性」というワードが出てきましたが、服を作る上での工程や優先順位を教えてください。
意識的にこれから進行させよう、といった感じの優先順位は無いですね。
唯一挙げるとすれば、基本的にデザイン画を描いてから素材を考えることはあまり無いですね。
素材とディテール、テクニック先行でそこからデザイン画を作成します。そのあとに、コレクションライン全体を見て、アイテム毎の強弱やMDを行なっていきます。
PORTVELは毎シーズン、ルックがとても印象的だと思うのですが撮影時のこだわりなどはありますか?
モデルフィッティングは事前にしますが、照明や写真の質感に関しては現場でのライブ感も大切にしていますね。
過去のシーズンルックには、主にムービーの現場に携わっている照明専用のスタッフをキャスティングしたこともあります。
2019年度TOKYO新人デザイナー大賞を受賞して、今後のブランドの展望をどのようにお考えですか?
まず2020A/Wシーズンから海外に行こうと考えています。
国内ベースで活動をしてきましたが、このタイミングでより多くの人に見てもらう機会を増やす為に海外で展示会を行う準備を進めています。
やはりブランドとしてグローバルで展開したいという思いは以前より持っていたので……検討段階ではありますが展示会形式以外での発表も視野に入れています。
洋服を作る前段階のデザインソースやインスピレーションの源は?
今は、建築や家具に興味があります。
ここ2-3シーズンは意識的に建築や家具からアイディアやモチーフを集めていますね。ファッションの中だけで考えるのは限界があるなと感じるので。
どちらかというと、音楽然り無形のものではなく…形があったり、目に見えるもの、意味があるもの、特に建物には強く惹かれるものがあります。
20A/Wから海外に進出するといった話がありましたが、日本のブランドがヨーロッパ圏に進出するにあたりサイジングの問題に悩まされるということがよくあります。そういった点も含め今後の服作りにおいて変化はあるのでしょうか?
PORTVELは基本4サイズ展開ですし、うちの服は割と大きい。
袖も丈も長いので、イレギュラーなグレーディングは考えていますが、現状海外に持っていくことに関して、サイジングの部分ではそれ程危惧はしていません。
それよりも今あるサイジングを大切にしたいと思っています。現在作っているサイズはブランドの一つのアイデンティティだと考えているので。サンプルに関しては、トワルを組んで、かなり細かいディテールまでしっかり作っていきます。
ハウスパタンナーがいる事でクオリティを高いレベルでキープする事が出来ていますね。
それと、グローバルに展開していくには、やはりレディースも着られるようなユニセックスなデザイン、クリエイションは今後必要になってくるのではないかと感じています。
インタビュー・編集:石本 遥路
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