【”Made in Japan”が弊害に?中国セレクトショップのバイイング状況】
4月も後半に差し掛かり、多くのブランドが来期のオーダーを取りまとめ生産、納品の準備を進める時期に入っているだろう。
中国では4月8日付けで武漢市も正式に封鎖を解除した。
まだ一部規制は残るものの、現在の中国では新型コロナウイルスCOVID-19の収束が現実的に見えてきた状況にある。
そんな中、世界各国のブランドが流通し、消費額でも世界有数のファッション大国となった中国国内でセレクトショップを営むオーナーやバイヤーに、来シーズンのバイイング状況を聞いたところ興味深い話を聞くことができた。
以前、海外マーケットにおいての”Made in Japan”の付加価値については言及したが、現在の中国マーケットにおいて”Made in Japan”は一種の弊害になっているとの見方を示すバイヤーも少なくない。
» 参考:【Made in Japanに価値を感じているのは日本人だけ?】
» 関連動画:【中国から考える】Made in JAPANの見え方
彼らは新型コロナウイルスCOVID-19に対する世界各国の対応と情勢を注視した結果、来期は中国国内ブランドの比率を上げ展開する方針だと話してくれた。
彼らにとって日本で生産される商品が、納期通りに届くかどうかといったところが一番の不安点だという。
全体で考えれば日本ブランドの比率は下げたというが、中国を生産拠点としている日本ブランドのオーダー額は昨シーズンと同等、或いはオーダー額を増やしたブランドが存在することも明かしてくれた。
今日現在に限っていえば、中国マーケットでプライオリティが高いのは”Made in Japan”よりも”Made in Chaina”であるということだ。
もちろんこれは日本に限ったことではなく、新型コロナウイルス渦中にある諸外国も同様だ。発生地としての中国に対し、個々が様々な感情を抱くことはあるにせよ、世界有数のマーケットへと発展し、経済活動が徐々に再開しているという事実を我々は念頭に置いておかなければならない。
中国が収束に向かい、日本をはじめとする各国の現在の状況が長引けば長引く程、このニーズは広がり続ける可能性がある。
このような現象は、あくまで刻々と移り変わる変化の中での一例である。新型コロナウイルスCOVID-19は既存の経済活動のバランスを大きく変化させ、価値観までをも一新させてしまった。
“元通り”を目指すのではなく、新たな価値の創造や、既存の概念に囚われないフレキシブルな思考がアフターコロナの世界では必要不可欠になっていく。
石本 ヨウジ
【Made in Japanに価値を感じているのは日本人だけ?】
ファッション先進国をはじめ、海外での”Made in Japan”は確かに好意的ではあるものの、それが理由となってバイイングに至るということはほとんどありません。逆を言えば日本ではマイナスブランディングになるであろう生産国を言葉にしたところで、ネガティブなリアクションには至らないということです。
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