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【YOHO!】創業者の梁超氏が語る中国ファッションの“今”

Fashion

(出典元:YOHO!)
毎年夏に開催される上海の大型ファッションイベントYOHOOD。

カジュアルなスーツスタイルで足早に各フィールドを行ったり来たりしているひとりの人物。この誰よりも動き回りたくさんの人と交流している人物こそYOHO!創業者の梁超氏です。

毎年8月の末から9月の初めは、YOHO!の大型イベントYOHOODが開催される時期になっています。3日間の間に、グローバルブランドのリーダーやファッションアイコンがここに集っています。

世界的にも知名度の高いブランドを集め、2020年度ではWIND AND SEEの熊谷隆志氏を誘致したように、ファッション業界のアイコンをここまで継続的に誘致しているファッションイベントは中国国内ではあまり多くないです。
» 参考:【YOHOOD】中国最大級のストリートブランド合同展示会

YOHOODはすでに中国国内でもトップレベルのファッションイベントになっており、90年代生まれ、00年代生まれの間では圧倒的な人気を誇ります。

YOHOODは、ファッションブランド、ファッションアイコン、ファッションカルチャー、ファッション好きな一般客を一つの場に集めることをこの数年継続しているイベントで、それは、ファッション情報発信を生業とする企業YOHO!が過去十数年間やってるビジネスそのものでもあります。

本記事の内容

  • 自らファッションを生み出す独自のビジネス
  • 中国のファッション時代が来たとはまだ言えない

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自らファッションを生み出す独自のビジネス

yoho
(出典元:YOHO! BUY)

中国のヒップホップ文化を牽引

2017年に空前の大ブームとなったTV番組「中国有嘻哈(THE RAP OF CHINA)」がヒップホップ文化、ひいてはファッション文化をアンダーグラウンドから公の場に持ち込んだといえますが、今年2019年はそこにスニーカーブームが加わり、ファッション文化の裾野がより広がってきたといえます。

梁超氏は、YOHO!がこれほどまでに巨大な情報発信力をもつこの状況は創業当初から予想していたことだと発言しています。

しかし、このような状況になるまでどれだけの時間がかかるのかまでは、創業当初は誰も予想していませんでした。

起業したばかりの頃は細かいプランがあったわけではなかったものの、雑誌としての創刊号を作る時から、YOHO!消費者に自分たちの発信する情報がどう影響するかを考える事が多かったと梁超氏はコメントしています。創刊号の成功はYOHO!の方向性が正しいことを証明する形になりました。

2005年、海外のファッション雑誌が本格的に中国に入る前に誕生した「YOHO!」。先行者利益を得て、ファッション分野、特にストリートファッションにおいての強い発言権を獲得しました。梁超氏は、「もしYOHO!の創刊が半年遅かったとしても、今のYOHO!は無い」と発言しています。

ファッションを軸にした展開

今では、YOHO!を構成する媒体や活動は多岐に渡ります。

  • 雑誌
  • オンラインショップ(EC)
  • ライフスタイルコミュニティー
  • デザイナーの育成
  • セレクトショップ運営

また、下記の4つの大きなビジネスカテゴリを形成し、手がける範囲を広げながらも、やるべきことはすべてファッションに集中することで、消費者が求めるファッションを創造し続けています。

  • メディア
  • セレトトショップ
  • コミュニティー(SNS)
  • イベント

ファッションビジネスの一番難しいところは「変化のスピードがとても速い」ことだといえます。流行が変わる、消費者のファッションに対する理解も変わる、こういった変化がYOHO!がここまで大きくなれたポイントだと梁超氏は語っています。

「もし十年前、私たちが雑誌を作ることだけに夢中になり、自分たちをメディアだと考えていたら、YOHO!は今のようなポジションを築き上げることはできていない。」
梁超氏はそう断言します。

オンラインショップとオフラインイベント

2008年、海外の雑誌がまだ注目されていない時に、YOHO!は他のメディアに先駆けて、オンラインショップを始めました。そして2013年頃、ファッションビジネスを網羅していくにはオンラインだけでは足りないと考え、ファッションをさらに立体化し、体験を増やしユーザーたちとの関係性を強くしていくためにはオフラインも必要だとの想いから、大型イベントYOHOODが誕生しました。

2017年末、YOHO!は南京で、自身初めてのセレクトショップYOHO!STOREを開催。これは常設された小型のYOHOODだとYOHO!は考えています。

  • 音楽イベント
  • ファッション講座
  • ヘアメイクやスタイリングのイベント
  • 飲食

毎週末、この様な多くのインタラクティブなファッション活動を開催しています。数秒前まではセレクトショップだったのに、気がつくとDJがいてクラブのようになっている。そんな驚きをこのショップはもたらしています。

新しいことを次々に手がけるYOHO!ですが、梁超氏からすると、メディアもセレクトショップも、本質は消費者たちにファッションコンテンツを提供する事で、ただ表現する形が違うだけとのこと。

中国のファッション時代が来たとはまだ言えない

yoho
(出典元:Yoho!潮流志)

ヒップホップを中国国内へ拡散

2017年、毎放送1億人以上の視聴者の注目を集めた「中国有嘻哈(THE RAP OF CHINA)」はヒップホップとファッションへの注目度を、いわゆる大衆のレベルにまで広げました。

それまでの中国国内のファッションカルチャーは、一部の人間にとってのみ価値のあることでした。それまでも、いわゆるファッションラバーたちはハイエンドなブランドや限定商品を重要視していましたが、中国の多くの若者にとっては、並んでまで一つの限定商品に高額なお金を払うのは理解しがたいことだったといえます。

成長中の中国EC市場

この数年でこの状況は一気に変わり、中国のファッション経済が急成長してます。オンラインのファッションEC市場だけを見てもこの2年、消費規模が急速な上昇を示しています。「中国ファッション消費発展白書」は、ネット販売市場におけるファッション市場の消費規模の伸びは、ネット販売市場全体の2倍に達したと発表しています。
» 参考:【中国アパレル】市場規模はこんなに伸び続けている【EC,通販も】

また、ファッションを直感的に表現できるアイテム

  • パーカー
  • スウェット
  • スニーカー
  • オーバーサイズのTシャツ

自分を表現しやすいファッションアイテムの消費もこのトレンドに乗っています。特にスニーカーは、転売が社会現象にもなり、その話題性がスニーカーブームをさらに後押ししています。

独自の“中古スニーカー”プラットフォーム

昨年このトレンドを敏感に感じ取ったYOHO!は、2018年末には、中古スニーカーの取引プラットフォームUFOを発表しました。現在このプラットフォームはYOHO!BUYというYOHO独自のECプラットフォームに組み込まれ、また2019年今年のYOHOODでは、スニーカーのための独立したエリアも設けられました。

昨年以来、YOHO!はスニーカーカテゴリの拡充をしています。現在はYOHO!のECの60%ぐらいを占めています。これは驚くべき数字です。

梁超氏によると、今年と来年の二年間は相変わらず商品の拡充がYOHO!の最も重要な任務の一つとなるといいます。

世界のスニーカー市場の拡大

スニーカーはよく、消費者にとっての流行のガイドラインとなるアイテムとしてYOHO!にて扱われています。「中学生は毎日制服を着ている一方で、周りとの競争心もあります。競争するなら、それはスニーカーの差別化かもしれません。そしてスニーカーは、多くの若者にとって、ファッションカルチャーに触れる最も重要な一歩になっていくかもしれません。」

また、アメリカ市場研究コンサルティング会社Gand Viewの2018年の報告によると、2025年には全世界のスニーカー市場規模は950億ドルに達する見込みで、複合年平均成長率は5.1%に達する見込みです。

一方、スニーカーの他に、中国発信のブランドを中心とするファッションの成長もこの2年間注目されています。

ニューヨークファッションウィークへの参加や、海外のファッションブランドとのコラボなど、ブランドを表現する方法も多岐にわたってきていて、展示会の幅も広がってきています。

また、中国国内のアパレルサプライチェーンの拡充も、中国ブランドの成長のために大きなベースになっています。

中国消費者の民族意識と文化

さらに重要なもう一つの成長要因は、経済の台頭による中国消費者の民族意識の高まりと本土の文化に対する共感の深まりにあります。ここ最近、漢字がプリントされたアイテムが増えていることからも直感的に感じることができます。

ただし、成長著しい中国ファッション市場ですが、「中国ブランドの時代が来た」とまではまだまだ言えないと梁超氏は語ります。

「中国ブランドはまだ成長の道半ばです。一部のサプライチェーンもしっかり構築したブランドを除いて、多くのブランドの価値は個性的なデザインにしか反映されていないといえます。業界全体のスタッフの能力も安定していません。」

「まずブランドとしての確固たる態度がある事。いわゆるお金を稼ぐために商品を消費者に売るのか、本当のブランドを作るのか、なぜ中国でブランドをやるのか。これがブランドとして一番重要なことで、はっきりさせておくべきです。また、ブランドのポジションと商品の価値は何なのか。ブランドとしての理念や考え、デザインはもちろんのこと、サプライチェーンや商品の品質、マーケティングなど、ブランドをやるにあたって考えることはたくさんあって、一朝一夕にはいきません。」

中国ブランドそして海外ブランドも含む中国ファッション市場の成長はまだまだ続くといえます。

それを観察し続けていくためにも、YOHO!そしてYOHOODはひとつの定点観測する視点になるといえます。

Michelle(林雪深)
※編集サポート 兒玉キミト

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