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【アジアのHUBは未だ東京か?】“TOKYO” FASHION WEEKを通じて考える

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本記事の内容

  • 変革の時を迎えた世界のファッションウィークと凝り固まった“TOKYO”の価値観
  • 東京のファッションウィーク、開催時期は適切か?
  • “解離”が進む東京のファッションシーン

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変革の時を迎えた世界のファッションウィークと凝り固まった“TOKYO”の価値観

TOKYO FASHION WEEK

ALEXANDER WANG(アレキサンダーワン)がニューヨーク・ファッション・ウィークの公式スケジュールから外れ、新作を発表するようになったり、20S/S シーズンではニューヨークのスケジュール自体が前倒しになったりと世界のファッションウィーク自体の開催時期や、存在意義までもが変化しようとしています。
 
この流れは世界各国のファッションシーンに留まらず、東京においても見受けられるようになってきました。

本来であれば東京のファッションウィークは3月と10月の中頃。

しかしここ数シーズン1か月以上前倒しのスケジュールで展示会を行うブランドが増え始めています。

 
目的は極めてシンプル、開催時期を早めて各バイヤーの予算を先に確保するということです。

展示会時期を早めるということは、それに従いデリバリー時期も早くなり、店頭でのプロパー展開期間が長く確保できるといった小売り側のメリットも存在します。

もちろん上記以外にもサンプル製作を早めることで海外への展示会も視野に入れることが出来ます。
 

ただでさえ過密なスケジュールの中、サンプル製作を早め、1か月以上早く展示会を開催することは確かに容易ではありません。

しかし、2000年代の初めには既に世界各国のアパレルブランドの市場の約7割がプレシーズンコレクションによる売上となっています。(メインの春夏・秋冬の前に発表される、小規模なコレクションのこと。ブランドによってクルーズ・リゾート・ホリデーコレクションなどの名称を用いる場合があるが、上記は全て同義)

もちろん日本国内より欧米諸国がバカンスのカルチャーが根付いているといった点もあるので、一概には言えませんが一つのデータとして目を背けることは出来ません。
 
情報をいち早く発信できる術もあり、これほどまでにインターネットが普及した現代社会において3月と10月の中頃に発表するファッションウィークは「日本国内のブランドが、日本国内のバイヤーに売ること」に傾きすぎたスケジュール、ファッションウィークといっても過言ではないと思います。

東京のファッションウィーク、開催時期は適切か?

TOKYO FASHION WEEK

上記のような理由から、設立から数年経ち力をつけたブランドは早々に海外のファッションウィークへ発表の場を移さざるを得ません。

国内のマーケットは飽和状態かつ少子高齢化社会に伴う国内市場の縮小といった背景が存在する為です。
» 参考:少子高齢化社会とファッションの関わり方【2040年には3割は高齢者】
 
Amazonがメインスポンサーに就任して以来、海外のバイヤーやプレス、ジャーナリストを積極的に招聘していますが、成果として体感できるレベルには達していないのが現状です。

この極東の地で世界的に見て開催時期の”遅い”ファッションウィークについては早急に舵を切る必要があると感じています。
 

もちろん、ファッションウィークの開催時期等をはじめとするシステム的な理由だけでなく、ブランドやそれ等を擁するアパレル企業にも責任の一端があります。

ランウェイショーをはじめ、クリエイションやプロダクト面に注力するあまり、その後の展示会では各色、各サイズのサンプルが揃っていないといった問題や展示会日程を知らせるインビテーションの送付が遅れ、ビジネスチャンスを自ら逃しているケースも多く見受けられます。
 
ランウェイショーはあくまで“手段”であり“目的”ではありません。

いわゆる“ファッションデザイナー”でなくとも服が作れる時代です。プロダクトだけでなく、ビジネスにおいてもクリエイトする能力や環境を手に入れることに注力する必要があると強く感じています。

“解離”が進む東京のファッションシーン

TOKYO FASHION WEEK

上記のような動きが進むにつれ、ブランド側は求心力の無くなったファッションウィークに頼ることなく、様々な策を講じ始めます。

現在、東京におけるファッションウィークのメイン会場は渋谷ヒカリエと表参道ヒルズとなっていますが、数シーズンより前からメイン会場を離れ別の場所でランウェイショーやインスタレーションを開催する動きが強くなっています。(決められた会場で実施することにより、演出面での同質化といった側面もある)
» 参考:【解説】東京ファッションウィーク2019 A/W 【海外との比較も有り】

もちろん、メイン会場以外で開催することが悪いといったことでなく、あくまでもブランド側とファッションウィークを運営する側の連動性がなくなりつつある一例として記述致しました。
 
最近の若手デザイナーはTOKYO FASHION WEEKへ参加することにそれほど重きを置いていません。

上記のような理由はもちろん、単純にメリットを見出すことが難しくなっているのではないでしょうか。
 
物の売り方が変化したことにより、世界のファッションウィーク情勢までもが変革の時を迎えています。“TOKYO”にファッションウィークがあるにも関わらず、このままでは各セクションの解離は進むばかりです。
 

今年の4月にはAmazonが冠スポンサーから降りる方向で最終調整に入ったとの報道もありました。

国外への発信ももちろん必要ではありますが、まずはクリエイションをビジネスに繋げる体制やシステム、若手ブランドがファッションウィークへの参加を目指すような環境を作り上げることが急務なのではないかと考えます。

石本 遥路

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