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上海ファッションウィーク合同展から考える「日本ブランドが大事にすべき考え方」

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(出典元:WFN撮影)

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お薦めyoutube動画<上海ファッションウィーク合同展22春夏【現地からの日本ブランド出展レポート】>

 

2021年10月中旬に2022SSのシーズンを終え、先日2022年AWの開催時期を発表したばかりの上海ファッションウィーク。
2022年AWの開催は2022年3月24日となる。

上海ファッションウィークは、ランウェイショーやインスタレーションなどでそのクリエイションを発表する場としても注目されているが、その一方で、同時期に開催される大型合同展でのオーダーの獲得にも、この数年注目が集まっている。

海外ブランドにとってはランウェイショーの実施には敷居が高いこともあり、日本も含む海外ブランドにとってはショー以上にこの合同展に注目が集まる。

MODE shanghaiやontimeshow、Showroom shanghai(时堂)を筆頭に、LABELHOOD、TUBE showroom、NOT showroomなど、大型・中型の合同展だけでも10を超え、参加ブランドの数は1000を軽く超える。

参加ブランド数が年々それだけ増えているのはもちろん市場が成長し続け、オーダー数・金額ともに増え続けているからなのだが、だからといって「どんなブランドにでもチャンスが大きく、成功できる」わけではない。

最も大きな競合は中国ブランド

この数年、中国ドメスティックブランドの参加が増え続けていたところに、コロナ問題の発生がその傾向をさらに加速させた。
2020AWシーズン、国を跨いだ移動が難しくなったことで参加ブランドのほとんどが中国ブランドとなり、それにより、これまで国外のインポートブランドのみを扱っていたセレクトショップも中国ブランドを試す機会がぐっと増えた。
「試してみた結果とても消化がよかった」というバイヤーの声は多く、それにより2021SS、2021AWシーズンも中国ブランドのラックスペースを増やすセレクトショップが増えていった。

「中国国内のトレンドを押さえている」
「コストパフォーマンスがいい」

この2点が中国ブランドの最大の特徴だ。マーケットに一番近いところにいるからこそ、細かい部分への訴求ができているブランドが多い。

ただ手に取りやすい価格を「コストパフォーマンスがいい」とは言わない

中国ブランドはただ安くてお得なわけではない。
デザイン訴求もあるからこそ、「コストパフォーマンスがいい」という表現になる。

そんな中国ブランドが増えてきた中で、日本ブランド・海外ブランドはどうしていくべきなのか。

中国マーケットへの攻め方はいろいろあるが上海ファッションウィークの合同展示会に限っていうと、「ただお得感のある海外ブランド」はウケない傾向にある。

もともと世界の工場だった中国で、生産を行う中国ブランドと戦うには、ただ手に取りやすい価格というだけでは全く響かない。
しっかりしたデザイン性、あるいは目に見えてわかりやすい高品質。そういった別の価値と価格力がセットになって初めてコストパフォーマンスという武器になる。
逆に言うと、お得に感じてもらえるのであればその価格自体は安くなくても構わない場合だってある。
バイヤーはいつだって自分たちの顧客のことを想像し、顧客にとってお得なのかを判断軸にバイイングしている。

ブランド価値のない商品がいくら安くても売れない。それが中国の鉄則だ。

MADE IN JAPANは感じるもの。探すもの(目的)ではない。

それは日本製の商品についても言えることでもある。
MADE IN JAPAN「だから」売れる時代ではもうない。ただし、コストパフォーマンスを感じる「ひとつの要素」としてMADE IN JAPANが輝くことは現地の展示会でもよくある。
オリジナル生地の素晴らしさ・縫製の強度や商品全体の風合いなどを感じた結果、「あー、MADE IN JAPANなのね。どうりで商品に力があるわけだ」という会話になることはよくある。この思考の順序がとても重要である。

また、ブランド価値を感じてもらうためには、今流行りのDXにまではブランド内で消化できていなくても、中国のSNSやWEBを駆使したマーケティングは必須だし、BtoBにせよBtoCにせよ、そこを怠ると継続的なブランド力の向上に繋がらない。
もちろん、マーケティングには商品そのものも含まれるので、中国マーケットで自身のブランドはどこが価値に感じてもらいやすいのか、どこをさらに伸ばすべきなのか、そこには時間をかけていく必要がある。

必ずしも上海ファッションウィークの大型合同展を通さなくとも、商品(MD)とマーケティングをきちんと整理しプランニングしていけば、単独でのオーダー展示会・直販ECの構築など他の道も存在する。

なんにせよ、「真剣に自分たちの価値とその伝え方を再考すること」
そこが最初の一歩となるし、定期的に立ち戻るべき部分でもある。

当たり前のようで、だからこそすぐ怠りがちな部分でもあるので、心に強く留めておきたい。

兒玉キミト

 

 

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