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中国で独自の世界観を発信するDtoCブランドnice rice

Fashion

(出典元:nice riceオフィシャルwechat)

ロゴものや総柄のアイテム、そして彩度が高い華やかアイテムが人気。

これは、この10数年中国大陸のファッションについてずっと言われてきた定説だ。

ここ10年の過去を振り返っても、KENZOやMASTERMIND、そしてBAPEなどの大きくわかりやすいロゴやグラフィックが人気で、JOYRICHやBOYLONDONなどのブランドにも同様の傾向が見える。HIPANDAやCLOTのように中国のオリジナルブランドを見ても、その傾向は同様だ。

もちろん、この傾向は今も続いているし、2級都市以下の地方都市ではこの傾向はさらに顕著だといえる。しかし、この中国のファッション傾向に一石を投じるDtoC型の中国ドメスティックブランドがある。

2018年創立のブランド、nice rice(好饭)だ。

本記事の内容

  • 中国のこれまでのトレンドと一線を画すミニマルなスタイル
  • 中国では珍しいDtoC型のアパレルブランド

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中国のこれまでのトレンドと一線を画すミニマルなスタイル

nice rice

nice rice

nice rice

nice riceのディレクターonesun氏は派手なグラフィックを嫌い、短いスパンでのトレンドをより嫌う。

彼らにとって最も重要なのは”服を着るヒト自身”。あくまでヒトが主役であり、衣服はあくまでそれに寄り添うものとする考えを貫いている。

nice riceのアイテムはとてもシンプルだ。

カテゴリラインナップはTシャツ、ロングスリーブカットソー、スウェット、スウェットパンツ、パーカー、シャツ、ダウンなどで、グラフィックは基本ほぼない。

また、カラーラインナップはグレー、白、黒がほぼ全てを占める。ただし、色味や素材厚みに階調があって顧客のこだわりをかなえやすい構成になっている。同じ白でも漂白ホワイトもあれば、生成りの白もあり、ボディの厚みも様々だ。

キービジュアルやLOOKにも一貫したこだわりを見せる。

あえて中国人モデルを起用し、派手な装飾やメイクを排除することで、ミニマルなドメスティックブランドであることを強烈に訴求する。そのビジュアルに漂う雰囲気は、メゾンマルタンマルジェラやアレキサンダーワンに通ずるものがあると感じる若者も多い。

2018年の創業当初はイメージキャラクターに元NBAのスター選手であるジェイソンウィリアムスを起用していた時期もあったが、現在はスポーツテイストを感じるような路線から転換を図り、一貫したミニマルなスタイルを貫いている。

主要な価格帯は、スウェットパンツで400元台(6,000円台)、Tシャツで168-400元(2,700-6,500円)、シャツで500-1200元(8,000-20,000円)ほど。

中国のカジュアルブランドと比べると決して安いわけではないが、上海ファッションウィークに参加するようなデザイナーズブランドと比べるととてもリーズナブルに映る、面白い価格設定といえる。

中国では珍しいDtoC型のアパレルブランド

nice rice

nice rice

nice riceの特徴は商品だけにとどまらない。中国では希有なDtoCスタイルのアパレルブランドでもあるのだ。

中国ではDtoCよりも卸売り型のほうがまだまだトレンドで、自身でDtoCを標榜するブランドもほぼ皆無と言っていい。

それは、TmallやWeChatのような巨大プラットフォームが強大過ぎて独自ドメインのECサイトは作らない、中国の独特の商習慣の影響でもある。

nice riceは2018年の創業時、実店舗は作らずECからスタートした。

独自ドメインが受け入れられにくい中国の慣習を考慮し、アリババグループのECプラットフォームTmall内への出店ではあるものの、卸は行わず自社運営ECから始めるブランドは珍しい。

そして、ECをサポートする形として、2020年9月に上海の一等地淮海中路エリアに体験型の旗艦店、上海新乐路店をオープンした。人気クラブLe Baron(ルバロン)からほど近く、NIKE LABの隣に位置する好立地だ。

店舗も商品と同じくミニマルなスタイルを貫き、その世界観をわかりやすく体感してもらえる空間となっている。

筆者も、初めての来店ですぐにその世界観に魅力を感じ、ついつい長居をしてしまった。もちろん、東京やニューヨーク、ロンドンなどにないわけではない世界観だが、この中国においてこの世界観で店舗作りをしているという振り幅が魅力だ。

国土の広い中国の中でも圧倒的なファッションへの寛容な受容度を持つ上海だからこそ成り立つショップだと言えるだろう。

ファッション好きの間で注目を集めた初の旗艦店から間を空けず、約4ヶ月後の2020年12月24日には2号店となる上海新天地店をオープンした。こちらもブランドの世界観を表現することに終始していて、顧客が自分を見つめ直すための空間という、まるで禅の世界のような空間も設けている。

売上は非公表だが、Tmallの販売履歴から推測するに2021年2月現在のEC月商は最低でも3000万円は超えている。※Tmallは外部からも直近1ヶ月の商品別売上数量を見ることができる

2つの店舗の売上も併せると、創業から3年足らずで年商10億円ペースはもう目の前だ。これまでの中国ブランドとは一線を画し、独自の歩みを進めるnice rice。

まだ歴史の浅いブランドではあるが、今後の動きにも注目が集まるブランドと言えるだろう。

nice rice(好饭)上海新乐路店
上海市徐汇区新乐路158号1FA室
営業時間:月-金 10:00-22:00

nice rice(好饭)上海新天地店
上海市黄浦区兴业路123弄新天地时尚1(南里)三楼305-307
営業時間:月-金 10:00-22:00

兒玉キミト

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