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【中国アパレル】世界より一足早くコロナ後の世界が開かれ始めている

Fashion

世界規模の大問題に発展した新型コロナウイルスCOVID-19。

世界中のメディアでも連日特集されているので、感染状況や各国政府の対応などはご存知のかたがほとんどだろう。

中国では、3月から湖北省を除く各省と市は次第に正常化し、4月8日0時についに武漢市も正式に封鎖を解除した。一部規制はまだまだ残るものの、武漢解放は中国で新型コロナウイルスCOVID-19の収束が現実的に見えてきたことを示す象徴であることは間違いない。

この一ヶ月で、新型コロナウイルスCOVID-19は世界中でパンデミックを起こし、多くの企業やショップは営業休止や閉店に追い込まれ、一方で工場は閉鎖、もしくはマスクや防護服への生産の転換を余儀なくされている。

世界的な被害が続くこの時期においては、先に収束に近づく中国の動向は経済を見通すうえでとても重要だ。

発生地として、中国へ憤りや特別な感情を持つ人ももちろん少なくないことも事実だとは思うが、アパレル経済に限らず、世界の経済が今後復興に向かっていくためには、タイムマシーンで未来をのぞくような気持ちで中国の動向を観察しておくことが、今後にとって有益なことは間違いない。

今回は世界規模のアパレルブランドに着目し、世界そして中国での状況をレポートしたい。

本記事の内容

  • オンラインにも力を入れ、中国での立ち直りの早いH&M
  • イベントへの考え方の変更を余儀なくなされるスポーツアパレル

madeinjapan

オンラインにも力を入れ、中国での立ち直りの早いH&M

china

2020年3月にH&Mは、世界規模で見た場合の一部のマーケットで従業員を削減するための臨時計画を発表し、世界規模の企業として数百万人の従業員に影響を与えた。

同時に、ドイツの460店舗とアメリカの590店舗を一時的に営業休止することも発表した。二つのマーケットの大きさはそれぞれ、世界規模で見た場合にH&Mの一位、二位となっている。このほか、H&Mは、カナダ、ポルトガル、ベルギーでの店舗を全て営業休止すると発表した。その中にはイタリア、ポーランド、チェコ、ブルガリア、オーストラリア、ルクセンブルク、ボスニア・ヘルツェゴビナ、スロベニア、カザフスタンの全ての店舗とギリシャの一部の店舗を含んでいる。

H&Mは現在、世界中に約5千店舗、中国で約500店舗を展開している。1月から2月、H&Mが一時的に中国店舗を営業休止すると発表した後、中国マーケットでの売上額は24%落ち込んだ。

しかし、3月以降の中国マーケットでの動向や業績回復を見る限り、H&Mは早くも中国でのダメージからの立ち直りを見せつつある。3月10日から、H&Mは女性を敬い感謝する日である婦女節を活用したプロモーション「3.8女王祭」を実施し、消費を強く喚起させることに成功した。ECでも相当な売上をあげたときく。

実店舗の回復ももちろんのことだが、オンラインにも力を入れ続けてきたことが、1月2月の落ち込みを和らげ、3月以降の回復の速度を上げたことは間違いない。

イベントへの考え方の変更を余儀なくなされるスポーツアパレル

china

adidasも、他の大手スポーツアパレルと同様に新型コロナウイルスCOVID-19の影響を強く受けてきた。adidasは3月中旬以降、ヨーロッパ、ノースアメリカの直営店をすべて営業休止し、「従業員、顧客、パートナーの健康を最優先する」と発表した。

先日、adidasは新型コロナウイルスCOVID-19が中国マーケットへの影響を発表した。2020年1月末から2月末までの閉鎖期間中、adidasの収入は前年同期比約80%減少している。中国では2月の小売店の売上収入は前年比80-95%減少した企業が非常に多い。

極端にいうと、「ほぼ売上のない」時期が1,2ヶ月続いてきたのだ。

adidasは、2020年度第1四半期としては、中国地区の売上額は8-10億ユーロ、営業利益は4-5億ユーロ減少すると予測している。

しかし、adidasの難しさは過去の第1四半期だけではない。新型コロナウイルスCOVID-19が欧米の広範囲な影響により、スポーツの試合が中止や延期されたり、店舗が営業休止されたり、adidasが協賛しているチームは試合が正常に運営されないと利益が得られないなど、adidasの株価を何度も熔断し、国際的なスポーツブランドとして大きなダメージを受けている。

キャッシュフローを増やすために、adidasは正常化しつつある中国マーケットに期待を寄せている。

adidasに限らず、平常時から体験を重要視しイベントでのプロモーションやブランディングに力を入れているスポーツアパレルカテゴリの企業はいわゆる一般的なアパレルブランドよりも新型コロナウイルスCOVID-19の影響はさらに大きい。

NIKEも先日の中国でのAir MAX Dayではオフライン開催の中止を余儀なくされた。しかし、開催をアリババグループのTmall上でのオンライン開催に変え300万人に閲覧させるなど、オンラインやデジタルツールを活用した手法に解決を見出している。

上海ファッションウィークに限らず、NIKE、ルイヴィトンなどオンラインに力を入れる企業が中国では急速に増えている。単純にECということではなく、ライブ配信を中心とするコミュニケーション型、つまり実店舗に代わるものということを強く意識するようになったことが大きな変化だ。

2020年は、本質的に「オンラインでできることは何なのか」ということを突き詰める革命が起きる年になる。

そのことを踏まえ、試行錯誤を続けながら急速に経済回復を見せるブランドや企業に着目していきたい。

兒玉キミト

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