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REDの「オンライン安福路」プロジェクトに見る中国の若手ファッションブランドの今

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(画像出典元:RED)

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小紅書(通称RED)も注目の通り

安福路。

上海のフランス租界地エリアに位置し、プラタナスの樹が道の両側を埋め尽くす趣のある通りだ。

多くのファッションブランドやライフスタイルブランドの路面店が集まっている安福路は、上海ファッション界隈で注目されているストリートの一つ。
わずか800メートルのこの通りは、この数年上海のファッションの多様化に貢献してきた通りともいえる。

ビューティ関連の情報をZ世代が発信・収集することで人気を獲得してきたSNSアプリ小紅書(通称RED)では近年ファッション関連情報のコミュニケーションも盛んで、これらのコミュニケーションがアプリ自体の成長にも寄与してきたといえる。
そして、新たなユーザーの獲得・既存ユーザーへのコンテンツ提供のために、このREDも安福路のブランド力に注目をおいた。

3月1日、REDは「オンライン安福路」と銘打ったイベントを開催し、30を超える様々なデザイナー、クリエイター、ブランドを集積させた。
参加しているのは実際に安福路に店を構えるブランドだけではないのだが、感度の高いものをREDに集めたことをユーザーに伝える目的において、このネーミングは秀逸だ。
一昔前の90年代の東京で言えば、「オンラインキャットストリート」と言ったところか。

ブランドたちが情報を発信するだけでなく、ユーザーが商品を購入できるのも今回のイベントの特徴でもある。
このイベントは2022年3月14日までの2週間となっている。

今回、中国で絶大な人気を誇る陳偉霆のブランドCANOTWAIT、中国李寧などもこのイベントを通してオンラインPOP UP店を立ち上げた。

若い世代に注目される個性的なブランドが集結

参加ブランドの中には、メジャーブランドだけでなく、IVYやミリタリーの提案で高い評価を受けるセレクトショップRADIANCE BLUEや、Z世代を中心に安定した人気をもつmelting sadness、ユースカルチャーに傾倒し2019年に創設されたブランド苦尽FARAMITAなど、固定のファンを持つ新しいブランドたちも多い。

REDは、オンラインPOP UPのほか、ロンドンコレクションブランドでもあり、冬季北京オリンピックの旗手団のユニフォームも手がけた中国ブランドFeng Chen Wangなど30社以上のデザイナーズブランドとコラボし、新しいファッションIP「RED LABEL」をレーベル化させ、限定コラボ商品を発売した。

2010年に広東省で設立されたROARINGWILDは、今では中国国内で最も有名なストリートウェアブランドの一つとなっている。
筆者が初めてROARINGWILDの真っ白なロングスリーブシャツを購入した2011年時は色も作りもシンプルなものが多かったが、近年はサイバーなテイストやビタミンカラーなど刺激のあるアイテムのシリーズも増え、ブランドとしての若返り、現代の中国へのスムーズな適応も感じる。

そんなROARINGWILDとREDの限定コラボには幾何学や構造を重視したシャツなどを打ち出した。今回は、パステルカラーの配色に、シンプルかつ立体的なシルエットを使うことで商品そのものの服としての質感を高めることに成功している。

2011年創立されたインディーズブランドSUPERTOFU。インスピレーションの多くは普段の生活、古着、音楽、映画などと言われていて、Z世代を中心に人気のあるブランドだ。
RED限定コラボでは、シャツやニットアイテムにフルプリントを使い、ブランドコンセプトである「Life still,life chill」をダイレクトに表現した。

その他、カルバンクライン ニューヨークのメンズ部門で研鑽を積んだデザイナー管林が手がける上海ファッションウィークブランドShort SentenceやEdison Huangが手がけるアートエッセンス溢れるアイウェアブランドTHE OWNER、パワフルでロマンティックなデザインが特徴のSHUSHU/TONGなど、注目のブランドとの取り組みが目白押しな点も興味深い。

RED LABELは、まだまだスポットプロジェクトで大規模ではないとはいえ、若手ブランドたちにとってのインキュベーションとしての役割も担っているといえるだろう。

SNSやソーシャル電子商取引に見る中国ファッションマーケットの未来

近年、アメリカや日本と同様に、中国でも伝統的でクラシックなマス広告だけでは消費者にブランドの深い理解を与えることが難しくなってきている。
そのため、REDや抖音(中国版tiktok)など、テキスト、画像、動画を通じてブランドと消費者が双方向的にコミュニケーションでき、そこでショッピングも可能なアプリの重要性は日に日に高まっている。

そのユーザーの興味のあるコンテンツを提供するREDのアルゴリズムも高い評価を受けていて、このアルゴリズムが、ユーザーがさらに長くアプリに滞在する結果にも繋がっている。

また、インスタグラムにも言えることだが、デザイナー個人が発信できることによるデザイナーIP時代が到来するにつれ、個性的な魅力を持つデザイナーはREDのようなアプリを通じて自己表現とファンとのコミュニケーションを行い、それがブランド力の向上に繋がっていく。

そんな中、今回の「オンライン安福路」プロジェクトは、EC機能を活用するユーザーを増やしたいRED自体のブランディングにも繋がっているし、各デザイナーズブランドにとって良いプロモーションになっていることは言うまでもない。

今回参加しているブランドは10年以上運営しているブランドも多く、中国では中堅ブランドと呼んでもいいのかもしれないが、それらも含めた、資本力の大きくない若手ブランド・インディーズブランドにとって、低コスト運用がしやすいSNSでの情報発信そしてソーシャル電子商取引は欠かせない。
その一方で中国に4.4億人いると言われるZ世代を中心とした、個性を追求する消費者層の変化も、この動きに拍車をかけている。

すでに凄まじく大きく、それでもまだまだ成長を続けている中国ファッションマーケットだが、今後そのマーケットはグローバルブランドやメジャーブランドだけでなく、若手ブランド・インディーズブランドにも支えられていくといえるだろう。

規模関係なくメッセージを発信でき、自分たちのペースでブランド成長もできるこの状況は、ある意味ファッションというフィールドの根源的な理想でもあり、未来への光を感じる。

兒玉キミト

 

 

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