【中国のインスタ映え】SNSで人気の「網紅展」と現代のアート観賞事情
本記事の内容
- 時代と共に変化するアートのプラットフォーム
- スマホとSNSによる新たなアート「網紅展」
- 【芸術と思想・撮影と宣伝】アート展と網紅展の共存
時代と共に変化するアートのプラットフォーム
アート。それは現代になくてはならないもの。
人々の生活水準が上昇している現代において、衣食住だけではなく、文化や芸術を含めた精神世界での向上も重視されています。また、ますます多くのモダンアートのアーティストが現れ、アート展そのものも、さまざまなスタイルに多様化してきました。
しかしその一方で、人々は従来通り目で芸術を感じるのではなく、スマホ画面を通しての観賞もとても増えてきています。
整った静かな環境で、一定なテーマや作者が意図する順番で作品を展示し、作者が芸術的メッセージを来場者に感じさせる。あるいは来場者自身がどう感じるのかを考えさせるのが、本来の芸術展のあり方でした。
スマホとSNSによる新たなアート「網紅展」
しかし、今の芸術展はひとつの大きなエンターテインメントショーのようになり、作品そのものの意味より、人々はレンズの中の自分が美しく撮れてるかどうか、多くの「いいね」をもらえるかどうかを重視する傾向にあります。
このような、写真が撮りやすさやSNSでの写真映えで有名になったアート展を中国では「網紅展」(ネットで人気があるアート展)と呼ばれています。
写真映えする鮮やかさをもっている作品、あるいは、ハイテクや最新テクノロジーを駆使した前衛的な作品が人気が出やすいですが、どの作品にしても、インフルエンサーたちの商業的自己表現、そして来場者の承認欲求が、こういった「網紅展」(ネットで人気があるアート展)の出現を促す要因になっています。
インフルエンサーの情報発信が、自分たちも「いいね」が欲しい一般人を刺激し、さらなる拡散に繋がっていきます。
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本来の展示会は、芸術的な価値や解釈に重きを置いていました。観賞にいく人も作品を見るために行き、そのついでに写真を撮る人が多かったはず。そもそも、撮影を禁止している展示会も、今と比べるとかなり多かったです。
しかし提供側の商業性と、観賞側のSNSでの承認欲求によって、作品そのものに興味がある人はだんだんと少数派になり、写真を撮るため(あるいはいいねをもらうため)に行く人が多くなりました。この流れがますますアート展の商業化に拍車をかけています。
【芸術と思想・撮影と宣伝】アート展と網紅展の共存
例えば、2016年アメリカニューヨークで開催された「アイスクリーム博物館」
これは元々、作者自身が自撮り好きだったため、アイスクリームを被写体にして、みんなで自由に自撮りできるように制作されたものでした。
- 写真を撮るため
- 何かを宣伝するため
- 何かの知名度を高めるため
このような展示会は、来場者が好きなだけ写真を撮っても、その展示会自体の意図から考えるとなんの問題もありません。
しかし、芸術家やアーティストが自身の哲学をもとに、芸術と思想を表現するために開かれたアート展でも同じ行為をするのはどうでしょうか?
例えば、最近上海でも大変な人気を誇ったチームラボの「花舞の森」展。彼らがこのアート展を催した出発点そして目的は、「みんなに写真を撮る環境を作る」ことではありません。
他のチームラボの作品と同様
- 感じてもらうこと
- 考えてもらうこと
この二つを念頭において作られたアート展です。
それなのにその想いは来場者には届かず、自撮りを促すSNSイベントの風味の強いアート展になってしまった一面もあります。
もちろん、撮影をOKしているアート展は来場者が作品をSNSにアップすることを否定しているわけではないですが、心を静めて作品の意図や想いを想像し感じてくれる来場者が増えることが、アーティストたち作品提供側がみたい結果なのではないでしょうか?
もちろん、全てのアート展と来場者を否定するわけではありません。本来のアート展と網紅展(ネットで人気があるアート展)の共存ももちろん可能です。ただ、目で見て、心で感じる方がアーティストと作品への尊重であり、自分たちのマインドやメンタルは豊かになっていきます。
たまには、スマホをしまって、アート展に出かけてみませんか。
Michelle(林雪深)
※編集サポート 兒玉キミト
【中国にも飛び火!?日本の「ドラマ」と「主題歌」をめぐる相互関係】
ドラマを通して曲の人気が高まる、あるいは逆に曲の人気を通してドラマの人気が高まる、この好循環が日本だけでなく、中国や台湾、香港といった中華圏でも続いています。インターネット、特にSNSを介してコンテンツが広まる現代においては、その重要性はますます高まっています。
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