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生産背景から考える日本ブランドの岐路、そして未来

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“日本でしか”生産背景を持たない背景

パリ・ファッションウィーク(Femme)の開催も目前に迫った24S/Sシーズン。

Rakuten Fashion Week TOKYO 2024 S/Sは8月下旬から9月上旬にかけて開催され、各ブランドもそれに追随するような形で各社展示会を行っていた。

そんな中、各社の展示会を周る中で多く聞かれた「日本バイヤーのバジェットが……」という声。
ここ数シーズン、耳にすることはあったが、今シーズン更に耳にすることが多くなったように感じる。

周知の通り、円安の影響は引き続き影響を及ぼし、原材料の高騰から”希望小売価格”は上がる一方。

タイやバングラディシュ、中国をはじめとした東南アジアでの生産を目論むブランドも多々存在するが、生産ロットの少ないドメスティックブランドにとっては生産を依頼するのも至難の業といったところだ。

そういった背景が故に、ドメスティックブランド、所謂日本国内のブランドは”日本でしか”生産背景を持たないといっても過言ではない。
一昔前まではMADE IN JAPANに多いなる付加価値があった時代もあったが、今の現状を鑑みてそこに疑問符がつくのは言うまでもない。

生産背景に基盤を持った、先述した国々からは新たなブランドが続々と登場し、国内マーケットのシェアを上げている。
To Bでのビジネスが成り立たなくなりつつある今、ドメスティックブランドはTo Cへの訴求力を高める他ない。

ドメスティックブランドが立たされている岐路

時代の変遷によったビジネスモデルの変化といえばそれまでだが、5年後、10年後、日本のファッションブランドはどのようなビジネスモデルを形成しているのか。
安かろう悪かろうの時代は疾うに過ぎ、先述した東南アジアの縫製技術は日に日に進歩を遂げている。
サスティナビリティやトレーサビリティも業界の中では確かに重要な事項でもあるが、その大元が消えてしまえば元も子もない。

先述した東南アジア各国での生産を背景にシェアや展開を求め進出していくのか、日本国内を生産背景にし、SNS等で訴求力を高め国内の消費に重きを置くのか、はたまた生産背景は日本国内、消費は東南アジアといった具合に展望を目指すのか、或いはその逆か。

何れにせよ、ドメスティックブランドがある種の岐路に立たされているのは間違いなく、あらゆる意味での”MADE IN JAPAN”の価値が残存するか否かの結果は向こう数年の間に答えが出るのではないかと推測している。

石本 ヨウジ

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