ANTAから見る中国のキッズスポーツアパレル【熾烈な競争へ】
本記事の内容
- ANTA(安踏)のキッズブランドがニューヨークファッションウィークへ参加
- オリンピックと絡めたファッションショー
- 中国キッズアパレル市場の伸び率
- 熾烈な競争を展開する中国キッズアパレル市場
ANTA(安踏)のキッズブランドがニューヨークファッションウィークへ参加
LINING(李寧)が中国ブランドとしての注目を集め始めている2019年ですが、インターナショナルなファッションウィークにおいて、またひとつ、中国のスポーツブランドが参加しました。
» 参考:李宁(リーニン)パリファッションウィークに登場【中国アパレル】
2019年9月9日、ANTA(安踏)のキッズブランドAnta Kidsはニューヨークファッションウィークのプログラムのひとつである「チャイナデイ」に参加。これはANTAにとってはインターナショナルなファッションウィークへの初めての参加となりました。
また、今回のショーではOpening Ceremonyとのコラボも発表されました。
Anta Kidsは2008年に創立、2019年で11年目となります
Anta KidsのCEO林翔華氏は、ANTAのキッズブランドは長年にわたって中国のキッズスポーツ市場の一線級のポジションをキープし続けていると発言しました。
林翔華氏は、ファッションショーへ進む事を決めた理由を、「中国での好調なビジネス、そして高いマーケットシェアではまだ足りないのです。次の10年で、Anta Kidsを本当の意味での国際的ブランドへと押し上げ、世界の高みまでのぼっていく事を目指しています。そこで選んだのがニューヨークファッションウィークです」とし、Antaキッズブランドのディレクター江艳を紹介しました。
オリンピックと絡めたファッションショー
ニューヨークファッションウィークのプロジェクトは2018年から構想を開始し、2019年に実際の準備段階に入りました。
親会社ANTAは中国オリンピック委員会の公式コラボパートナーであるため、その多大な影響により、キッズブランドのファッションショーでのアイテムの多くがオリンピックで採用されているスポーツからのプロダクトアイデアを活用していました。
今回ニューヨークファッションショーに出る商品は3つのテーマに分かれています
- 1つ目はOpening Ceremonyとコラボした「源」。オリンピックの起源を含め、平和象徴のオリーブの枝、開幕式のたいまつと中国が始めてオリンピックを参加した年代「1984」をデザイン要素として取り入れています。
- 2つ目の「能」シリーズは光ファイバー、LEDなどのテクノロジー要素で未来感を表現しています。
- 3つ目の「輝」シリーズは中国オリンピックナショナルチームのユニフォームをモチーフにし、オリンピックでの栄誉とスポーツファッションをデザインを通して結びつけています。
今回のショーでは、7歳のデザイナーHaileigh、ファッションブロガーSai De Silva、ナショナルジオグラフィックで最も若いカメラマンであるHawkeye Huey、9歳のファッションイラストレーターDear Gianaなど、優れた個性や知名度のある子供たちをゲストモデルとして招きました。
中国キッズアパレル市場の伸び率
近年、中国のスポーツブランド全体としても、キッズ市場に注目を向け始めています。ANTAはその中でマーケット参入がかなり早く、2008年にキッズ市場に入ったブランドです。
2019年8月、ANTAグループが公表した中間決算によると、上半期の営業収入は148.1億元(約2221.5億円)まで伸び、純利益は27.7%増の24.8億元(約370億円)に達しました。
しかし、決算の中でAnta Kidsに関する内容はあんまり無く、業績データも公開されていません。
マルチブランド戦略の中、ANTAグループはブランドをANTA、Anta Kids、Sprandi、AntapluSなどのスポーツアパレルブランド、FILA、FILA FUSION、FILA KIDS、Kingkowをメインとしたファッションスポーツブランド、DESCENTE、KOLON SPORTを代表としたアウトドアスポーツの3つに分けています。
その中で、グループはAnta Kids、FILA KIDSとKingkowという3つのキッズブランドを持っています。林翔華氏は、「ANTAグループはブランドの構築や管理においてしっかりとした体制を築いており、その中でもキッズカテゴリは非常に重要な部分です」と発言しています。
中国投資顧問が発表した「2017-2021年中国子供服市場投資分析及び見通し予測報告」によると、2017年の中国キッズアパレル市場の規模は1597億元(約2.4兆円)で、5年間(2017-2021)年の複合成長率は約8.05%で、2021年の市場規模は2177億元(3.5兆円)に達すると予想されています。
» 参考:【中国アパレル】市場規模はこんなに伸び続けている【EC,通販も】
現代の運動重視のライフスタイルの流れに適応し、機能性、そして親子にとってのインタラクティブなコミュニケーションなどの需要を備えているため、スポーツブランドは中国のキッズアパレル市場の中で最も重要視されています。
林翔華氏は中国のスポーツブランドのキッズアパレル市場へのさらなる参加は、キッズアパレル市場を大きくすることができると考えています。
「皆がキッズブランドを作っています。LININGも、361度も、xtepも自社の力を強く押し出していて、これはよい傾向です。」
熾烈な競争を展開する中国キッズアパレル市場
このように市場の潜在力は巨大ですが、その分競争も激しいです。その中でAnta Kidsは、競争に有利な条件を比較的持っているブランドです。すでにANTAのブランド力は中国において強固なものですし、商品は科学技術の機能性と高いコストパフォーマンスをバランスよく備えており、販売代理店の販売ネットワークも良く構築されています。これらの点が他のブランドより有利なところだといえます。
ニューヨークファッションウィークの他に、例えば、オリンピックなどの世界的なスポーツイベントとパートナーシップを組み、自分たちを国際的にも、スポーツ分野での優位性を高めていきたいと、Anta Kidsは鼻息荒く動いています。
Anta Kidsの未来について、林翔華氏は2025年に200億元の営業規模と中国一のキッズアパレルブランドになり、さらにキッズスポーツブランドとして世界一のポジションを目指していきたいというチャレンジングな目標を掲げています。
一人っ子政策の影響が色濃く残る中国において、消費者の財布が集中しやすいキッズマーケットは、まだまだ注目が続いていきそうです。
Michelle(林雪深)
※編集サポート 兒玉キミト
【白熱する中国のドメスティックスポーツアパレルブランドたちの戦い】
中国のスポーツアパレルブランドと言うと、李寧(リーニン)とANTA(アンタ)、この2つのブランドがひときわ有名です。この2ブランドはここ2年で中国の国産スポーツブランドの光となり、スタイリッシュなブランドとしてadidasやNIKEなどの国際ブランドを追いかける勢いがあります。
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